本当は「深い」映画「ちょんまげぷりん」

「ちょんまげ」と「プリン」だけの話ではありませんから!

スタッフ

中村義洋 脚本・監督

プロフィール

1970年、茨城県生まれ。崔洋一、伊丹十三らの助監督を経て、99年自主制作映画『ローカルニュース』で監督デビュー。『人間の屑』『仄暗い水の底から』『刑務所の中』『クイール』などに脚本家として参加。監督としては『@ベイビーメール』(05)『あそこの席』(05)『ルート225』(06)などを経て、伊坂幸太郎原作の『アヒルと鴨のコインロッカー』(07)で注目される。続いて『チーム・バチスタの栄光』(08)『ジャージの二人』(08)『ジェネラル・ルージュの凱旋』(09)『フィッシュストーリー』(09)『ゴールデンスランバー』(10)と一作ごとにその演出力への評価が高まっている。

成城大学文芸学部芸術学科卒業。大学在学中より映画研究部に所属し、8mm映画製作を始め、『五月雨厨房』が1993年の「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」で準グランプリを受賞した。

大学卒業後、崔洋一、平山秀幸、伊丹十三らの作品に助監督として参加する。1999年、自主製作作品『ローカルニュース』で監督デビューする。同年よりブロードウェイがシリーズ化している『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズでは多くで監修、構成、演出を務め、また現在に至るまで同作品のナレーションを務める。

2004年、脚本家の鈴木謙一と構成作家の細川徹と共に映像コントユニット「小鳩の会」を結成する。

2007年、日本映画製作者協会による、もっとも将来性のある新人監督に与える「新藤兼人賞・金賞」を受賞する。

コハカスガイ?!

中村義洋監督 単独インタビュー

温かでちょっぴり切ない、人と人の絆と約束の物語。

2010JStormInc

子育てと仕事に追われるシングルマザー・遊佐ひろ子の前に現れたのは、180年前の江戸からやって来た本物の侍・木島安兵衛。帰る方法も思いつかず行くあてのない安兵衛は、遊佐家に居候するかわりに、遊佐家の家事すべてを引き受けると宣言する。安兵衛とひろ子、一人息子の友也の間には、いつしか家族のような絆が生まれるのだが…。

主演・木島安兵衛役に、映画初出演となる錦戸亮さんを迎えて話題となっている「ちょんまげぷりん」、原作は荒木源さんによる同名小説。脚本と監督は、『アヒルと鴨のコインロッカー』、『フィッシュストーリー』、『ゴールデンスランバー』の伊坂幸太郎作品をはじめ、『チーム・バチスタの栄光』、『ジェネラル・ルージュの凱旋』など、話題作の映画化を確かな演出力で大ヒットさせ、注目を集めている中村義洋監督です。

この作品を観て、“働くこと”について『何かを考えてもらえたらな』と思います。

― 監督が原作小説にほれ込んだとお伺いしているのですが、どんなところに惹かれたのでしょうか。

「『こういう企画があるんだけれど』と声を掛けてもらったんですが、“どういう話なのか”という粗筋だけで、面白いんですよね。サムライが来て、シングルマザーのところに居候して、家事をするようになって、パティシェになって、っていう、このストーリーが面白くて『引き受けよう』と思ったんです。原作を読むと、そこにまた色々なテーマが入って来るんですね。親子の関係であったり、家族の問題であったり、色々とあるんですが、一番気になったのは“男女の仕事に関しての意識や考え方”ですね」

― 今おっしゃった「仕事と家事の両立と分担」について、劇中での安兵衛さんたちは一つの答えを出しますが、それでも「とても難しいことだなあ」と思ったのですが。

「そうそう! 何にも解決策を出していないでしょ?(笑) これは、話し合うしかないんだよね。相手を尊重するだけじゃなくて、お互いを尊重し合って、ちゃんと話し合わないと無理ですよね」

― もしも監督が安兵衛さんの立場だったら、どうされますか?

「うーん…やれることを探すかなあ? 実際に“撮影”ってなっちゃうと、もう絶対に両立は出来ないので…その中でも、やれることだよね。都合のいい理想は、やっぱり働かないでいてくれるのがいいんだけれど、そうじゃない人もいる訳だから。それでも、“やれること”をいっぱい考えないと、いけないんだろうな」

― 木島安兵衛としての錦戸亮さんは、いかがでしたか。

「良かったですよ。本人も、ある程度サムライのようなところがあったり、“自分”を持っていたりするので。そういうところがないと出来なかったんだろうな、と途中で気がつきましたね。錦戸くんが本来持っているから、それでこんなに成立しているんだろうな、と思いました」

― ともさかりえさん演じる遊佐ひろ子に、とても好感が持てました。あのオトコマエなリアクションは、監督のご指示でしょうか?

「いや、違うんです。僕は、キャスティングしたら、その方の考えていることを尊重するんですね。よくよく違っていたら、ちょっと言うくらいで。ともさかさんとは初めてお仕事をするんですが、前から『ステキだな』と思っていたんです。今回、錦戸くんは所作や殺陣があるから大変だろう、子役も大変だろう、ここにもう一人大変な女優さんがいたらパンクするんで(笑)、その辺りで苦労しない女優さんを、と思ったんです。

色々お話をして、演技に関してはお任せでしたね。“あのリアクション”は、元々ともさかさんがテストでやって、こっちが笑っちゃって『それで行きましょう』ってなったんです」

― 友也役の鈴木福くんの演技が絶妙でした。

「福ちゃんとは前にも一緒にやっていて(『ゴールデンスランバー』)、その時から思っていたんだけれど、彼は子役らしくないんです。子役の子って、『監督に誉められなきゃいけない』っていうのが分かっているんだよね。でも、福ちゃんは全然そんなことを気にしていないというか。お芝居をしていても、チラチラ監督を見たり、そういうのが彼には全然ないんですよ」

― 最後に、この作品を観る方にメッセージをお願いいたします。

「この作品は、的を絞らず、誰が観ても面白い作品だと思います。でも、“働くこと”に関しては、『何かを考えてもらえたらな』って思いますね」

ひとつひとつ、じっくりと考えながら答えて下さった中村監督。人の心の機微や、心と心の繋がりを丁寧に描く監督の作品には、やはり中村監督の温かなお人柄が反映されているようです。

 江戸時代のお侍が、現代にタイムスリップしてしまったら…!? いかにも“昔の男”である安兵衛と、ひろ子の意見の食い違いに「くすっ」と笑いつつ、“現代”に足りないものが少しずつ浮かび上がって来ます。

 エンディングを盛り上げる、忌野清志郎さんの「REMEMBERYOU」は、中村監督が脚本を書きながらずっと聞かれていた曲なのだそう。奇抜で不思議なシチュエーションをバックに繰り広げられる、なんとも温かでちょっぴり切ない、人と人の絆と約束の物語です。

原作-荒木源『ちょんまげぷりん』(小学館文庫刊)

荒木源(あらきげん、1964年-)は、日本の小説家。

京都府生まれ。東京大学文学部仏文科卒、朝日新聞社に入社。2003年『骨ん中』でデビュー。2010年『ちょんまげぷりん』が錦戸亮主演で映画化された。

著書

  • 骨ん中小学館2003.6のち文庫
  • ふしぎの国の安兵衛小学館2006.9
  • ちょんまげぷりん(上記の文庫化改題)
  • オケ老人!小学館2008.10
  • ちょんまげぷりん22010.8(小学館文庫)
サムライスーツ?!

その他のスタッフ

  • 音楽-安川午朗
  • 美術-金勝浩一
  • 撮影-小林元
  • 編集-森下博昭
  • 装飾-尾間龍生
  • 照明-堀直之
  • 録音-松本昇和
  • 製菓制作・監修-辻調グループ校
  • 制作プロダクション-スモーク
  • 制作協力-ダブ
  • 製作・配給-ジェイ・ストーム

ちょんまげ好きにも!